第5回 「カイコの生産効率」

※2011.1.23追記
この記事に関して、多くのミスを発見しました。
後日、修正または削除します。申し訳ありません。


むしはしです。
今回は、カイコの生産効率について考えていきましょう。

X.H. Yu et al.(2008)によると、カイコはエサを食べなくなるまで(5令3日目まで)、孵化してから25日間かかります。その間、15.12g(fresh weight) の桑の葉を食べます。カイコは桑の葉の40%を消化し、桑の葉の14.3%を自らの肉体に変換します。つまり、飼料要求率(飼料量/体重増加量)は6.99ということになります。
さて、カイコが食べる桑の葉の栄養素はどんなものでしょう。
Deshmukh S.V. et al.(1993)のデータからむしはしが計算したところ(NFEを炭水化物とみなした)、カロリーは115kcal/100g(fresh weight)となりました。
以上より、カイコ1匹(2.16g)を得るには、桑の葉が17.4kcal分(115kcal×0.1512)必要だということになります。つまり、カイコ1gあたり8.06kcal必要ということです。



次に、カイコは生産効率が良いのか悪いのか、ニワトリ(鶏卵)と比較してみましょう。ニワトリは卵1個(60g)を産むのに、エサを110g要求します。つまり、飼料要求率(飼料量/卵)は2.2ということになります。
さて、ニワトリの飼料の栄養素はどうでしょうか。
PHF専用飼料 成鶏飼料AI(東山産業)によると、カロリーは285kcal/100gとなります。
以上より、鶏卵1個(60g)を得るには、専用飼料が313.5kcal分(285kcal×1.1)必要だということになります。つまり、鶏卵1gあたり5.23kcal必要ということです。
ちなみにブロイラー(鶏肉)の飼料要求率は約2です。出荷時の平均的な重量は2800gです。これも考慮しましょう。


今までお話したことを表にまとめました。


ここから何がわかるでしょうか?
僕の個人的な感想としては、
「カイコってそんなに生産効率良くないじゃないか…?」
といったところです。

しかし、桑の葉はただの木の葉っぱであり、ニワトリの飼料は穀物が主であるので、単純な比較はできません。穀物の生産には、桑の葉の生産よりも多くのエネルギーが投資されているでしょうから。葉っぱからこれだけの栄養を生み出しているカイコはやっぱりすごいのかもしれません。
また、カイコは5令幼虫であることに注意してください。カイコ蛹の資料要求量はまた変わってきます。
いろいろと考えることは多いですが、今回はこの辺で。


引用文献
X.H. Yu et al.(2008),Feeding scenario of the silkworm Bombyx Mori, L. in the BLSS
Deshmukh S.V. et al.(1993), Nutritional effect of mulberry (Morus alba) leaves as sole ration of adult rabbits.