色彩遺伝の話①

遺伝の話をします。
メンデルの法則を思い出してくださいね。

  • 優勢の法則
  • 分離の法則
  • 独立の法則

天然記念物「岩国のシロヘビ」ってご存知でしょうか?真っ白くて目が赤いヘビです。
あれはアオダイショウのアルビノです。さて、アルビノとは何でしょうか?
アルビノとはつまり遺伝子の中のメラニン合成遺伝子に異常があり、黒色色素のメラニンを合成できなくなった個体です。
アオダイショウの元の色は暗い緑、ということでこれが抜けて白くなるわけですね。
ついでに目の色素も抜けまして、神秘的な赤い目になるというわけです。
アルビノの形質は通常の劣勢で、異常なメラニン合成遺伝子がホモにならないと発現しません。
また、アルビノは通常個体に比べて視力が弱く、外敵に襲われやすいとも言われます。
だからこそあの野生下であのようなシロヘビの個体群は珍しいということです。



話をコーンの話に戻します。コーンのノーマル個体は赤茶地に黒く縁取られた濃い赤茶の斑紋(ブロッチ)があるものです。
これがアルビノになるとメラニンがなくなるわけですから黒い縁取りが消え、全体として明るい赤〜オレンジの個体になります。
コーンではこのアルビノのことをアメラニスティックと呼びます。この呼び方は爬虫類全般に多いようです。


A:通常のメラニン合成遺伝子、a:異常型メラニン合成遺伝子と考えましょう。
AAの通常個体とaaのアメラニ個体を掛け合わせたとしましょう。
表1:AA×aaの結果

すると生まれてくる子すべてがAaのノーマル個体になります。あれ、アメラニはどこに行った?これが優勢の法則ですね。
今度はAaの個体同士を掛け合わせてみましょう。
表2:Aa×Aaの結果

お、アメラニ来た!今度は1/4の確立でアメラニが生まれてきますね。これが分離の法則です。
同じようにAa×aaだと半分がアメラニになります。
アメラニは最初に固定された変異形質で、当時は盛んにアメラニの選抜交配が行われたようです。
アメラニスティックからは選抜交配の結果、同一の変異遺伝子を利用し、サングロウ・フローレッセントオレンジなどの品種が作られています。