色彩変異の話②

今回はコーンスネークにどんな色彩の形質があるかを紹介していきたいと思います。
今回は一遺伝子の変異だけで起こるものをあげていきます。

  • ノーマル

前回参照

前回参照

  • アネリスリスティックA

ブラックアルビノとも言われる、黒くてモノトーンな渋いヘビです。
アメラニではメラニンが欠損していましたが、アネリでは赤色色素であるエリスリンが欠損するため黒いヘビになります。
劣性遺伝します。

  • アネリスリスティックB(チャコール)

アネリAと同じく、赤色色素欠損形質です。これも劣性遺伝します。
ですが、アネリAではわずかに黄色色素が残るのに対し、こちらは全く残りません。
アネリAとは違う遺伝子座に座位していることが交配によって確かめられています。
一般的にはチャコールといったほうが通りがいいかもしれません。

こちらはメラニンが欠損するのではなく、減衰する色彩変異です。
色としてはノーマルから黒味を薄くした明るい色の個体が多いです。
ハイポメラニティックには同じタイプの遺伝変異が多く、他にサンキスト、ラヴァ、ウルトラが知られています。
ハイポ、サンキスト、ラヴァはそれぞれ独立に劣性遺伝します。
ウルトラはアメラニと同じ遺伝子座にあり、複対立遺伝します。

  • ラベンダー

一見アネリに見えますが、よく見ると薄紫色が乗った劣勢遺伝形質です。きれいです。
なんでこのような色になるのか、という研究はされていないようでした。残念。
日本人には人気の色です。

  • キャラメル

ノーマルの赤かった部分がすべて黄色に置き換えられます。なので全体的に黄色くなる劣性遺伝形質です。
赤色色素は黄色色素から作られると考えられており、その赤色色素になる過程の反応経路に異常が起こったものと考えられています。
両生類・爬虫類では、このような色彩変異はザンティックと言います。

  • モトレー/ストライプ

モトレーは背中の斑紋がはしご状になる変異、ストライプは背中の斑紋がつながる変異です。
どちらも同一遺伝子座に存在し、複対立遺伝をします。
モトレーには特徴として少しのハイポメラニティック要素を持ち、色彩を明るくします。

  • ブラッドレッド

全身が赤くなる劣性変異形質です。
ただ赤くなる、というわけではなく同時にDiffusedと呼ばれる斑紋の変異が起こります。頭の斑紋が消え、体の斑紋が薄くなります。
この斑紋を薄くする、という性質を利用してさまざまな品種が生み出されています。


このようにたくさんの色彩変異があるのが爬虫類のいいところですね。
ちなみに、コーンスネークでは存在しませんが、黒化するメラニスティック、黄色色素がないアザンティック、アルビノではなく(目が赤くない)白化するリューシスティック、体の一部分が不規則に白くなるパイボールなど数えきれないぐらいの変異があります。


次回は今回出てきた複対立遺伝について説明します。