苦し紛れの総集編

むしはしです。
昆虫食の文化的意義について書くのが相変わらずキツイので、ここで少し総集編をお送りしたいと思います。


昆虫食、特にカイコを食べることについて、以下のような利点が頻繁に取り上げられていました。

  1. 動物性タンパク質が食肉よりも豊富−カイコ蛹3匹で鶏卵1個分の栄養?−
  2. 少ないエサで生産できる。
  3. 小さな空間で生産できる。
  4. 生糸生産に際して廃棄されるカイコ蛹の有効利用。
  5. 人間の食料とカイコの餌は競合しない。
  6. 貧困地域でのタンパク源

思いついただけ挙げてみました。
他にもありましたら、ご一報お願いします。


さて、以上のポイントについて個人的な見解をお話ししていきます。

1についてです。僕が文献調査をした限りではそのような証拠は見出せませんでした。ただし、カイコの栄養素は成分分析をしたステージ、加工法、季節、エサ、分析方法などによって大きく変化します。場合によっては高い栄養価を示すことがあるでしょう。

2についてです。僕が調べた限りでは、カイコは鶏と比べるとそんなに生産効率は良くないです。単純に要求エネルギーでみると、鶏に劣っている可能性もあります。ただし、エサの生産効率まで考えると話は変わります。厳密に議論するためには何を食べさせるかを考える必要があります。

3についてです。カイコは確かに小さな空間での生産が可能です。面積あたりの生産エネルギーでは鶏に劣る可能性も大いに考えられますが、カイコは飼育箱を重ねて生産することが可能です。体積当たりの生産エネルギーではカイコに軍配が上がるでしょう。

4についてです。これは難しい問題です。日本の養蚕業は衰退の一途を辿っており、廃棄されるようなカイコ蛹が存在しないことが考えられます。僕個人的にはこのポイントはあまり期待しないほうがよいと思います。

5についてです。確かに競合しません。しかし、僕にはこの点が簡単に利点だとは言えません。このポイントを利点として採り上げて昆虫食を推進していくのは的外れだと思います。

6についてです。貧困地域での飢餓対策としての昆虫食の推進は期待できると思います。ただし、食用昆虫の確保の方法は考えなければなりません。低コストで効率よく食用昆虫を生産する方法です。話はずれますが、世界的に昆虫を常食するようになったら、アフリカなどの貧困地域にしか生息しない土着昆虫を世界中に輸出できるようになるかもしれませんね。そうすればまた別の切り口での貧困対策となりそうですね。


以上、とっても簡単にまとめてしました。不十分な点も多くみられると思います。この他にも昆虫の薬理活性や、遺伝子組み換えによる有用タンパク質の生産なども考えるべきでしょう。
総括としては、「昆虫食の推進のためにその栄養の豊富さを訴えていくことは適切ではない」というところでしょうか。
僕は昆虫食推進派です。決して昆虫食を否定するわけでありません。ただ、今までの方法が納得できなかったので、僕が納得できる方法で推進していきたいと考えました。その方法についてはまた後々に発表したいと思います。